⑳財務会計:BS、PLの読み方

BS、PLを読む前提

まず、単位(千円、百万円、億円など)を確認し、規模のイメージを持つこと。

売上高や総資産額などの規模感は、自身が勤務する会社のそれと比較すればわかりやすいですし、また対象が零細企業であれば、自身や実家の収入/資産規模と比較すればイメージできるかもしれません。

兆円規模の超大企業、数千億円規模の大企業、数百億円規模の中堅企業、数億~数十億円規模の中小企業、数千万円規模の零細企業といった大まかな区分けが頭にあれば、財務諸表を見たときに理解しやすいと思います。

財務比率を分析したり与信限度額を設定する際に、ミスリードしないためにも規模感を常に意識しておくことは重要です。

 

BS(貸借対照表)

BSは、決算日一日限りの財務状況を示したものです。

右側は資金の調達元を示し負債と純資産から構成され、左側はその資金の運用の姿(資産)であり、左右の数値は必ず一致します。

1年以内に現金化されるものを流動資産、1年超えを固定資産、また1年以内に支払が発生するものを流動負債、1年超を固定負債という区分けをします(1年基準)。

が、もう一つ「正常営業循環基準」というものがあり、仕入~販売に至るまで通常の営業取引の過程にある資産(受取手形、売掛金、棚卸資産、前払金など)は、たとえ現金化される期間が1年を超えるものであっても、流動資産に分類されます。

ここが注意を要する点で、棚卸資産や売掛金で資金の回収が1年超えとなるものが多い場合、表面上の流動比率は高くても資金繰りは厳しい状態かもしれません。従って、「流動資産に計上されている資産は、本当に短期回収できる資産なのか」のチェックが必要です。

また、特に中小企業の場合、棚卸資産に売れない不良在庫が大量に含まれていたり、売掛金や受取手形の一部に実質回収不能の債権が含まれていることもあるので、「資産は本当に計上額ほどの価値があるのか」にも十分注意を払う必要があります。

 

PL(損益計算書)

PLは、売上から費用を差し引いた1年間の経営成績です。

売上総利益、営業利益、経常利益、税前利益、純利益と各利益段階の金額と対売上高比率の過去からの推移を見ていくことで、課題が見えてきます

但し、注意すべきはPLの利益はあくまでの会計上の利益であり、実際の資金の入金とは関係ないことです。売上も費用もそれが確定した時点で計上するので(売掛金や買掛金といった勘定科目があるのはそのため)10億円の純利益が出たからと言って10億円の現金が手元にあるわけではありません。利益と資金繰りは別物です。

また、売上総利益 = 売上-売上原価 ですが、売上原価は前期末の在庫+当期仕入額から期末在庫となった分が差し引かれるので、期末在庫の評価によって利益が変動します。

「期末在庫が大きくなるほど当期の利益は増える一方、資金繰りは圧迫される」という関係になりますので、要注意です。利益を大きく見せるため、期末に在庫を増やしているのかもしれませんので、現金がその分減少していないかチェックしてみてください。

 

資金繰り

キャッシュフロー(CF)計算書があれば一目で状況がわかりますが、中小企業は一般的にこれを作成していません。

その代わりとして、仕入在庫販売入金までの期間を示すキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)が長期化していないかをチェックすることで、およその検討をつけることができます。これは、BSPLから計算できるので、中小企業の資金繰りを見る上で非常に有益です。

 

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   目次

1.財務諸表とは 

2.貸借対照表  演習3題

3.損益計算書  演習3題

4.財務分析   演習5題

5.総合演習   演習2題